note:Words in the World

言葉 思考の断片 伝えたい、言葉
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     私を圧し包むような、息苦しいほどの昼間の湿度は
     日が暮れて、ほんの僅かに気温が下がると
     大気の中に留まりきれずに静かに零れ落ちた
     垂れ込める厚い雲は、街の灯を映して
     鈍い光彩を返す
     疲れた足取りで駅へ向かう人と
     何かに追い立てられているかのような躁の人々
     それらを眺めるともなく眺める虚ろな目をした占い師たち

     深淵に沈みかける心を一瞬で引き上げる携帯の音
     穏やかな思索の糸も霧消させる
     声を潜めて、或いは何も気にせず喋り続ける安堵の笑顔
     ―――君は一人じゃないよって。

     濡れたアスファルトが照り返す輪郭の
     ぼやけた景色は、まるで真実を映す鏡
     肌に降る雨の糸で散りかけた思いを
     ようやく繋ぎ止める

     現在の気温を知らせる電光掲示板
     いたるところに設置された時計
     途切れることなく発着する電車
     忙しなく動く車のワイパー
     鞄で頭を庇う人々の早足
     潔いまでに悠然と濡れながら行く人
     僕はどうやって歩きたいのだろう

     足を止め
     晴れ渡る空の下では見えないものを見つめる夜
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